冨永真一郎 後楽園ホール大会前インタビュー

そして15年近くたち、辿り着いた4月11日ガンプロ後楽園大会、冨永は今、何を思う。
——いよいよ、新生ガンプロ初の後楽園大会が近づいてきましたが。そのメイインイベントで盟友・今成夢人に挑戦する、現在の心境はどうでしょう?
冨永「僕は気張りすぎると良い結果に結びつかないきらいがあるので、極力普段どおり過ごすよう努めています。最近は初めての育児に取り組んでいます。オムツを替えるとき、あやしながら玉置浩二を歌うときはプロレスのことが頭から離れるので良いバランスを保てていると思います。」
——あ、先日産まれたばかりのお子さんの話ですね。おめでとうございます。どうですか、父親になっての生活や心境の変化などは?
冨永「とにかく可愛いです。子供に対して苦手意識があったんですが自分の子供は別ですね(笑)ただ、話に聞く通りめちゃくちゃ大変です。本当に育児って24時間体制で、何よりしんどいのはまとまった睡眠時間が取れないことですね。オシッコをかけられるのは慣れました。」
——それは大変ですね。でもかわいい自分の子どもならオシッコも平気ですね。あ、でも冨永選手は熟女のオシッコも…
冨永「それはもう言わないでください!」
——はい。すみません(笑)。
冨永「でも本当に子供中心の生活になることで、自分の人生の主役が替わっていくような黄昏的な寂しさを感じるときがあります。本当にそうならないように、タイトルを獲ってガンプロの主役になりたいです。」
——ガンプロの主役ということは、もちろんベルト奪取を意味しますね。
冨永「今回がSOG世界無差別級王座への4度目の挑戦になります。しかも後楽園ホール大会のメイン。チャンスは他の人よりたくさん貰っているのに、結果が伴っていないことに焦りもあります。チャンピオンの今成さんとは何度も闘っていますが、近年は大きく負け越しています。ここでひっくり返して団体内で存在をアピールしたいです。」
——そして対戦相手の今成選手。こちらは両者にとって特別な相手となります。
冨永「今成さんが撮ってくれた「ガクセイプロレスラー」があったおかげで、現在もプロレスを続けられています。彼は友人であり、恩人でもあります。」

——今成選手も同じようなことを言っていますよね。冨永のおかげで今の自分がいる、というような。今成選手と初めて会ったときの印象などはどうだったのでしょう?
冨永「今成さんと初めて出会ったのが大学2年のときです。僕のイメージする、「いかにもな美大生」という感じで。また、自分の団体にはいないようなタイプでしたね。人との間に壁を作らず、とても人懐こい奴だなと思いました。より深く交流するようになったのは大学4年の「ガクセイプロレスラー」撮影時です。まさかこの作品が僕の人生を大きく変えてくれることになるとは…」
——そこからお互いに紆余曲折があり、何度も対戦を繰り返し、新しいガンプロ初の後楽園で最高峰ともいえるメインイベントで対戦します。
冨永「2度のタイトル戴冠で滲み出るオーラも変わってきていると感じます。旗揚げ当初の弱い今成夢人はもういない。強い王者に挑めることがとても嬉しいです。」
——どんな試合になると思いますか?
冨永「最後に今成さんとシングルマッチで戦った際はとにかくがむしゃらに、ダンプカーのようなスタイルでした。しかし、タイトルを奪取した石井さんとの試合では終始冷静だったように思います。心理的にも成長した今成さんは驚異ではありますが、ここは敢えて正面突破したいです。」
——冨永選手の言う正面突破がどんな形なのか楽しみにしています。アキレス腱断裂からの復帰後、連戦連勝と好調でタイトルマッチまで辿り着きましたが、その要因はどんなところにあるのでしょう?
冨永「肉体的なコンディションに限って言えば、どうしても負傷前より悪くなっていると思います。ただ、前述のとおり人生の主役の座にしがみつかなくては、という思いから気持ちは過去にないくらい前のめりです。それが結果に結びついているのだと思います。」
——怪我による長期欠場と、お子さんの誕生が良い流れを作っているのですね。
冨永「そうですね。新体制になって2回目の大会で怪我をしてしまったので、僕だけまだスタートライン付近にいる気分なのかもしれません。スタートダッシュの勢いが僕にはありますね。」

——怪我で休んでいる間のガンプロはどう見えましたか?
冨永「欠場中、仲間の試合を間近で観ていて凄く楽しそうに見えたし羨ましかった。リングの外からではありますが、独立という選択に間違いは無かったと感じました。」
——ガンプロには独特の空気があるといろんなところから聞きますね。
冨永「ガンプロのリングは所属だけではなく、参戦してくれる他団体の選手や観に来てくれるお客さんまで「ガンバレカラー」に染めてしまう力があると思います。まだ交流のない選手、まだガンプロを見たことがない方々にこの空気を感じてほしいです」

——さあ、そのガンプロでベルトを獲ったらその先はどんなことを見据えていますか?
冨永「僕はデビューして14年、一度もシングルのタイトルを獲ったことがないので頂からの景色は想像もつきません。今は目の前の試合に集中したいと思います!」
——ありがとうございます。期待しています!
