勝村周一朗 11月17日(日)新木場大会直前インタビュー
●11月17日(日)新木場大会に向けて
——今日は勝村選手にお話を聞きたいと思います
勝村「いや、そんなに今日は話すことないですけど」
——まあまあ。今回の新木場大会は岩崎選手の10周年記念試合ということで
勝村「そうですね。岩崎ゆかりの試合なんで。まあガンプロの6人タッグは絶対面白い試合になるのは決まってるんで楽しみですね。」
——岩崎選手の歴史というようなメンバーが揃いました
勝村「はい。でも、試合決まったあとに岩崎のインタビュー読んで、あんな面白い入門テストの話あるなら伊橋さん入れなきゃいけなかったなって思いましたよ。」
——パンツ脱がせ事件ですね
勝村「入門テストで有り得ないですよね。岩崎のデビュー11周年記念試合は伊橋さんとのシングルにしましょう」
——おもしろいけど、確実に伊橋さんが嫌がりますね
勝村「でしょうね。岩崎イジワルしそうですもん。」
——では、ご自身の試合の他に今回の新木場大会で注目のカードはありますか
勝村「まあ、全部じゃないですか。川上と前口はSNSの絡みが面白いし、春日とHARUKAZEの新体制初勝利に向けての対決はお互いのパートナーが曲者っていう見所もある。女子はゆうなちゃんとYuuRIがこれからどういう関係になっていくのかも気になるし、あとは進のガンプロ初登場が楽しみですね。」
——F-SWAGの進選手ですね
勝村「今回はムネがフリーダムズでF-SWAGにやられてきて、その流れでやりたいってことだったんだけど、進とは個人的に仲が良くてコロナ前はよく飲んだりしてて、組んだり戦ったりもしてました。なので今後ガンプロに絡むのかわからないですけど、機会があればまたやってみたいですね。」
——そしてメインイベントはSOGタッグタイトルです
勝村「僕らが一年近く守ったベルトが入江渡瀬に渡り、さらに盤石の王者チームになりましたよね。『もう誰も獲れないんじゃないか」っていうところに石川選手が来たっていうのは面白いですよね。これはもう健ちゃん次第。このメンバーでどこまで大家健の強さを見せられるかが楽しみです。大家石川組がベルト獲ったら面白いですよ。このタッグは誰にでも勝てる可能性はあるのに、誰にでも負ける可能性もある。そうなるとベルトの流れが変わるというか、名乗りでる挑戦者チームも増えるんじゃないですか。何なら中村川上にだってチャンスは出てくる。」
——それは面白いですね
勝村「そういう意味でも注目のメインイベントです」
——それと大阪大会でバックステージコメントをお客さんの前でやったのが好評でしたが
勝村「あれは良かったですね。クラウドファンディングで作ったコメント幕が大きすぎて176BOXの控室に入らなかったんですよ。で、どうしようかってなったときに『お客さんにもコメント幕見てもらいたいし会場の端に置けばいいじゃん』ってあの形になったんです。選手としては嫌ですけどね。バックステージコメントなのにフロントステージでやるっていうのは。でも好評だったので新木場でもやります。あのコメント幕を駐車場かステージ上に置いて試合後にそこでコメントを。あ、大会前や休憩中も出しておくので、お客さんはそこで写真撮るのもOKです!」
——それは良い記念になりますね。
●新体制のガンプロについて
勝村「ほら、もう話すことがなくなった」
——そんなことないです。4月からガンプロが独立したのですが、その辺の話も聞かせてもらえますか
勝村「それはなかなか長くなるというか、話は昨年の12月27日まで遡ります」
——勝村選手がイサミ選手からSOG無差別のベルトを獲り返した翌日ですね
勝村「はい。ガンプロのベルトを二本獲って、いろんな野望を胸に躍らせていたところに健ちゃんから電話があったんですよ。」
——なんの前触れもなく?
勝村「いや、本社に行って高木社長と話すとは聞いていたのですが、内容までは知らなくて。それで電話でいきなり『サイバーから独立します』と言われました。おいおいおいって感じですよね」
——そこは賛同しなかった?
勝村「そうですね。健ちゃんなりにいろいろ考えての結論だったのでしょうけど、その部分もわからなかったし、他の選手のことを考えたら独立は必ずしも良いものではないと思いました。独立といってもどういう形で運営していくのかもわからないし、大会をきちんとできるかも、利益が出るかもわからない。試合数やギャラの確保が不確定なら、若い選手たちはサイバーにいたほうが良いとその時は思いました。」
——勝村選手らしい冷静な判断ですね
勝村「自分は格闘技団体の運営にも関わっていたことがあるのでその大変さは理解しているつもりです。だからそこから数日、数日と言ってもそんな日にちですからね、それこそ大晦日も元旦も、健ちゃんやサイバーのスタッフなどと話し合いを重ねました。いろんな案を出しましたが、年明け2日に自分も独立の案に気持ちを落ち着かせました。」
——1月2日に独立を決心し他の選手に告げたのは6日の大阪で?
勝村「最初は4日の板橋でって話だったのですが、いろいろあり流れました。なので、その日は俺と健ちゃんのシングルのタイトルマッチでしたが2人でリング上で「本当についてくんのか!?」「二人だけになるかもしれないんだぞ!?」「そうなったらずっとシングルマッチやってやるよ!」って言いながら殴り合ってましたね。まわりの選手やお客さんからしたら意味わかんないですよね。」
——あの試合の裏にはそんなことがあったのですね。
勝村「そうなんです。で、1月6日の大阪の試合後のミーティングでみんなに言って。あ、その前に大会が始まる直前に三島さんにですね。健ちゃんと2人で行って『独立します』と。最初はぽかんとしてましたね。でも話をしたら『あー、そういうことですか。ええ、ついていきますよ。』と、あっさりで。そこから試合後に選手たちにも話して、あっさり決めた選手もいれば悩んだ選手もいて。中には面談というか、我々と話し合いをした選手もいました。」
——そこから4月の独立に繋がるわけですね。
勝村「もうそれがそんな簡単な話で収まるわけもなく!まあ本当に大変なんですよ、団体を運営するのって。もちろん会社を興してお金関係や会場関係をやってくれた三島さんの力が一番大きいです。でも、これまではサイバーのスタッフがやってくれたことを、営業からマッチメイクからイベントの企画から自分たちで全部やるわけです。残った選手を見てもらえばわかりますが、社会不適合者の集まりなんでね、皺寄せがかなり来るんですよ、僕の所に!」
——たしかに勝村さんは頼られる立場ですね。代表である大家さんは?
勝村「大家さんは何もしないです!最後に「いいと思います」って言う係。会議でもグループラインでも三島さんに意見を求められても何も言わない。それで僕とか石井とかが「これこれこうでこうじゃないですかね」と言ったら、あとから「僕もそう思います」って言うのが大家健です。もう慣れました。」
——しかも勝村選手はジムを5つ経営してますからね。
勝村「はい。うちは各ジムに店長を置くスタイルでなく、全部をみんなで見てるんです。なので5つのジムを僕が統括して見て回っている。その上、独立のことなんて何も考えてなかったから年末にうちのジムの選手や若者のために運送会社を立ち上げたこともあって大忙しだったんです。12月にやったこともない運送会社の取締役社長になって、その3か月後にはプロレス団体の取締役になってました。」
——そんなことがあったとは。。。
勝村「で、シングルとタッグのベルトを持ってたんで、年末からずっと7大会か8大会連続で全部メインイベントでした。そこにさらにガンプロ独立で、選手間の連絡やマッチメイク、新しいホームページ作り、ポスターやパンフレットのディレクション、クラウドファンディングの企画・立案、それとボートレース戸田とのコラボも僕の持ってきた案件だったし、まあとにかくいろいろやりました。打ち合わせはほとんど都内なので、横浜からの移動時間も電車の中でもPC開いて何やってんだって感じですよね。」
——それでいてお酒も飲みますしね
勝村「そこの遊びの部分は睡眠時間削っても減らさないですよ。時間が足りなければ寝なければいいって思ってハタチくらいの頃から働いてますから。」
——ハタチにできても50近い人の発想じゃないです
勝村「よく言われます。これは理解されにくいですが、経営者は飲むのも仕事です。お酒の席で仕事のストレス解消しつつ、新しいアイディアを考えたり、仕事に繋がる関係を作ります。もちろん半分以上は楽しみですが。時間を作ってでも会食に行くのはそういう理由もあります。でも、さすがに体力的にトレーニングする時間はほとんどなかったです。ジムの会員さんやうちの選手に付き合う練習はしてたけど、自分のための練習っていうのは今年の6月くらいまでほとんど取れなかったですね。」
●今後の目標…!?
——その状況で試合をやっていたとは恐れ入ります
勝村「そりゃ、ベルトも取られますよね。本当に会う人会う人に「疲れてるね」「痩せたね」って言われてましたから。実際に5キロ近く体重も落ちてたし疲れてました。ただ、今はいろいろ落ち着いて、ガンプロのこともみんなと協力してやれているので自分のトレーニングもできているし、コンディションも良いです。」
——お、やっと言いたいことが言えそうですね
勝村「はい。なのでね、コンディションの戻った今、もう一度ガンプロ最前線で戦いたいです。11月の新木場の後には12月に新宿FACE、来年も大会が続いて4月には後楽園ホールがありますからね。ガンプロ独立1周年、新体制初の後楽園大会は絶対にメインで戦いたい!」
——久しぶりに選手として、力強い言葉が聞けたように思います。
勝村「ですね。シングルでもタッグでもいいので、もう一度ベルトに絡む戦いがしたいです。なので、12月のFACEあたりでは1年間頑張ったご褒美マッチが欲しいです。」
——お、このタイミングで苦労話でお涙頂戴しておいて、最後に自分の希望を言うのは流石の名プロデューサーです。
勝村「そりゃそうでしょ。これだけガンプロに貢献して、みんなの希望も聞いて、下げたくない頭を下げたりもして、ガンプロのみんなのお兄ちゃんにも保護者にもなったんだから、ワガママ言いたくなるときもあります。」
——では新宿FACE、後楽園ホールでやりたい相手などは
勝村「やっぱり石井慧介ですよね。石井とは3回シングルをやって1勝2敗。本当に強い相手。プロレスに対する考え方や信念の部分でも尊敬しています。勝ち負けは良いとしても、同士でありライバルだと思っています。だから独立1発目の大会で石井慧介とベルトを懸けて戦えたことは自分の中では誇りとなっているし、区切りとなるどこかの大会でもう一度やりたいですね。」
——タッグのベルトの方は?
勝村「タッグももう一度、盟友である和田拓也と組んで狙いたい思いはあります。ただ団体のベルトとしてもっといろんな人に獲りにいってほしい思いもあるので、今は正直微妙なところですかね。ただ挑戦するときが来たら絶対獲れると思っていますよ。それ以外にもね、やりたい相手はたくさんいるんで、要所要所っで職権乱用しながらワガママ言っていこうと思います。」
——最後に本音が聞けて良かったです。今日はありがとうございました。
勝村「ありがとうございました。」
(聞き手・勝村周一朗)